柔道整復師が1mmも動けない程のぎっくり腰になった時の体験談

自身の経験を元に解説。1mmも動けない程のぎっくり腰の改善方法

患者様に知っておいて欲しい知識
◆最終更新日: 2024年08月30日 15:41:29
厚生労働大臣免許:柔道整復師

【 このページの監修者 】

このページは京都市右京区太秦にあるあゆむ整骨院院長(厚生労働大臣免許の柔道整復師)が、解剖学、生理学、運動学、病理学概論、一般臨床医学、外科学概論、整形外科学、柔道整復理論などの知識を元に作成しています。

1mmも動けない程のぎっくり腰を改善した方法。それは・・

「とにかく動ける範囲で動く、少しずつ動く量を増やして動きながら治す。」
当院のホームページでもなんどか触れていますが、骨折や椎間板ヘルニアなどの他要因のないぎっくり腰の場合は、「安静にしすぎる」のではなく「動いて」治すが基本となります。
それでは、具体的にどのようにしたのか、当時のことを振り返りながらお伝えしたいと思います。

ぎっくり腰(急性腰痛)は突然に・・・

正確な日時までは覚えていませんが、2018年11月中旬朝5時頃だったと思います。早朝の散歩を終えて犬にご飯を食べさせ終えた時のことでした。何の気なしに、犬を抱きかかえた瞬間にやってきました人生初の「激痛」、噂のぎっくり腰(急性腰痛)。
仕事が仕事なだけに毎日ぎっくり腰の患者様を診させて頂いていましたが、教科書で学んでいたいたよりも、そして想像していた痛みよりも何倍もの痛みにびっくりしたことを覚えています。

このページでは、実際が私が体験した重症ぎっくり腰の体験とともに、「どのような対処をし回復したか」をお伝えします。
ネタバレではなありませんが、ぎっくり腰になったその日、整骨院は休診にし、翌日は普通に診療できるまで回復しました。 それでは、ここから本編を開始します。

動けない!でもとにかく院には行かないと・・・

犬を抱きかかえた瞬間ぎっくり腰になり、本当に1mmも動けなくなりました。
まず大変だったのが「犬を床に降ろすこと」。1mmも動けないほど痛い訳ですが、降ろすために中腰になることなんでできません。どうしよう?とにかく犬を降ろしてあげないとしんどそうなので、思い切ってかがみ、犬を床に降ろしました。しかし降ろした体勢で激痛が走りしばらく動けません。

この時、今日は施術なんてできないだろうなと、思ってはいましたが、院を休診にするにしても、予約の入っている患者様への連絡をするため院には行かないといけません。
さあ、どうしよう・・・
1度座ったり、寝転んだりしたら立てる自信がありません。とにかく、立ったままで必要最低限の準備をして、院に向かうことにします。
いつもは自転車で片道30分かけ通勤をしていますが、自転車に乗れる自信がない。タクシー?いやいや、一回座ったら立てないだろうな。ということで、電車で向かうことに。
途中1度の乗り換えはありますが、ずっと立っていればなんとかなるだろうと・・・

電車で院に向かうことを決意し、自宅をでました。本当にゆっくり、周りからみたら明らかにおかしな歩き方でなんとか駅に向かいます。 自宅から最寄りの駅は、通常なら徒歩2~3分位ですが、この日は15分位はかけてたどり着いたでしょうか? なんとか無事に電車に乗り込み、もちろん座れないので壁にもたれ掛かったまま立っています。はじめはなんとかなりそうと思っていましたが、次第に足の裏、ふくらはぎが痛くなってきます。なんで?と一瞬とまどいましたが、不自然な姿勢とずっと立っていたからでしょう。徐々に立っているのもつらくなり、身体をモゾモゾと動かし、なんとか耐えしのぎ、無事院に到着しました。院に到着した時はとても安心したのを今でも覚えています。

無事、院に辿りついてからのこと

無事に院に辿り着いた後、まずは立ったまま予約して頂いている患者様へ「臨時休診する旨」を連絡をさせて頂きました。そのあと、院の前に臨時休診の張り紙を貼り終え、ここでやっと一息つけました。

患者様への連絡、張り紙を終えたあと、ホッとしてしまい。院の床に寝転んでしまいます。「これからどうしよう?これは動けるような痛さではない。もしかして、まさかここまでの痛みなんて・・・」と心の中で叫んでいました。これまでぎっくり腰の患者様には、「安静にし過ぎずに、痛くても動ける範囲で動いて下さい!」と今から考えると偉そうに言っていました・・・反省しないといけないですね。

いよいよ、ぎっくり腰への対処を開始

ホッとして、床に寝転びしばらくすると、明日のことが心配になりだします。明日までになんとか動けるようにならないと・・・ここでやっと「重い腰」ではなく、「痛い腰」をあげて、自身のぎっくり腰への対応をはじめました。

まずは、骨折がないかどうかをできる範囲で確認をします。
背骨(棘突起や椎体)の触診で異常な圧痛がないかの確認や叩打法と呼ばれる脊柱を叩く方法でひびくような痛みがないかの確認。足の感覚異常はないか、足に力が入るか、つま先立ちはできるか?など一通り確認し、骨折の可能性は低そうなので、できる範囲で動くことを決意しました。
この時は、つま先立ちするのもやっとで、一度座ったり寝転んだりするとしばらく動けなくなる状態でした。

実際に行ったこと

まずは、寝転んだ状態でアイシングをしました。アイシングをする目的は炎症を抑えることと、痛みを抑制するためです。 アイシングの方法はこちらのページを参考にしてみて下さい。
アイシングをして少し痛みが落ち着いたら、少しずつ身体を動かしていきます。
私の場合は、痛みがかなり強かったので、寝転んだ上で身体全体をを揺らすことから始めました。
揺らすだけでも全身の筋肉が緩みます。
30分~40分身体を揺すった後、再度アイシングの流れをひたすら繰り返しました。

アイシングをして炎症と痛みを押さえる(20分)→身体を動かす(40分)→アイシング(20分)→身体を動かす(40分)を繰り返します。
※肌の感覚がなくなるまでアイシング(最大20分)、肌の感覚が回復するまで身体を動かす(40分)を繰り返します。

この流れを3回程繰り返した結果、かなり身体を動かせるようになってきました。
初めの痛みがVAS100とするなら、VAS60~70位の痛みでしょうか?

VAS
(ビジュアル・アナログ・スケール )
0:全く痛みなし
100:今までで一番強い痛み
※今の痛みを0〜100の間のどのあたりになるのか評価する基準

まだまだ痛みはありますが当初の痛みに比べるとかなりましになり、この位の痛みなら少しは動ける自信が出てきて、このタイミングで一度院から自宅へ帰宅することにしました。

自宅へ帰る電車では、院に向かっている時に感じた「足の裏・ふくらはぎの痛み」は感じませんでした。これは、かなり良くなっている感覚がありました。

翌日の仕事に行くためにしたこと

院での、「アイシング→身体を動かす」という一連の流れで、ある程度痛みは緩和され、動けるようになりました。
ただ、当初に比べ少し動けるようになっただけで、まだまだ痛みを感じますし、仕事をできるような状態ではありません。 自宅に戻ってからは明日仕事ができるよう、痛みの緩和だけでなく損傷した組織の回復を期待し、さらなる行動を行います。

アイシングを行うと「血流量が減少し、炎症や痛みを抑制」、一方温めると「血流量が増え細胞の修復・再生、筋肉の緊張緩和が促進されます」。自宅に戻った今期待することは、痛みの抑制だけでなく、「細胞の修復と再生」です。

ただ、「細胞の修復と再生」のために痛みのある場所を温めると、炎症が強くなり痛みが増悪する可能性があるため温める代わりにアイシングを中止、身体を動かすことに集中します。まずは、痛みを感じながらも自宅周辺をウォーキング。歩きながらできる範囲で「腰を捻ったり、伸びをしたり」と身体を動かしていきます。

約90分ウォーキングした後帰宅、この時点でVAS50位でした。かなり痛みも良くなりましたので、「細胞の修復と再生」のために少しだけ温めるため入浴をすることにしました。
※みなさんは、このタイミングで温めることは、慎重に判断して下さい。
温めて痛みが増す場合は、すぐに入浴を辞めアイシングを再開すると決め、入浴しました。
入浴中は、痛みが増すどころか心地良い感じがありましたので、入浴は正解だったと思います。

入浴後は、さらに身体を動かすために、再度ウォーキングへ。この時のVASは40位、軽くであればジョギングも可能となっていました。約90分身体を動かした後に再度入浴、痛みもかなり改善してきましたので、早めに就寝しました。

ぎっくり腰の翌日

昨日の1mmも動けないぎっくり腰の翌日。朝目覚めた時の腰の痛みは、VAS70位でした。昨夜の就寝時はVAS40位でしたので、痛みは多少ぶり返していることになります。 就寝中は身体を動かすことがないため、どうしても筋肉も固くなり痛みがぶり返すことがほとんどです。しかし、幸いにも痛いながらも立ち上がれることはできるため、準備をして院へ向かいました。

痛いながらも動けるため通常通りの診療をすることを決め、電車を使い通勤しました。通勤時もなるべく身体を動かしたいので、少し前の駅で降車し約20分徒歩で通勤。無事院にたどりついた時には、VAS50程度の痛みに落ち着いていました。

院についてから、まずは開院の準備をすすめ少しでも良くなるよう院にある「フィジオアクティブHV ハイボルテージ電気刺激治療器」で痛む場所の炎症を押さえました。

この治療器の良いところは痛みの強い箇所を特定、その場所にピンポイントで電気をあてることにより即座に痛みを緩和できるところにあります。
※今回は1日でも早く治すためにハイボルテージを使いましたが、ハイボルテージを使用しなくても問題ありません。
ハイボルテージを治療を行った後のVASは約30。この位の痛みであれば、痛みはあるけど仕事はできそうです。なんとか、動けるようになったので、院を開け通常通り診療を行いました。
※腰部のコルセットを着けようかどうか迷いましたが、念のためこの日の仕事中だけコルセットをはめて仕事をしました。

ぎっくりその後

今回、突然1mmも動けない程のぎっくり腰になり1日だけ院を閉め、回復する過程をまとめさせて頂きました。ぎっくり腰になった翌日には院を再開しましが、その後も「安静にし過ぎずに動いて治す」を実践し、約10日程度で痛みはほとんどなくなり、何年もぎっくり腰は再発していません。最新の医学では、ぎっくり腰は「安静にしすぎるのではなく動いて治す」とされています。逆にぎっくり腰になった直後に「安静にしすぎ」てしまうと症状が長引くどころか、慢性腰痛になる確率も上がるそうです。

このページの中で案内した情報で、「骨折や他の疾患がないかどうか」「冷やす・温める」の判断は慎重に行って下さい。そして、少しでも不安があれば医療機関の受診をおすすめします。
このページの情報が、今現在ぎっくり腰になり悩まれている方のために少しでもお役にたてると嬉しいです。

よくある質問

また、今回のコラムをご覧頂きご来院頂いた患者様からよく頂く質問を下記に掲載させて頂きます。

あまりにも痛くて、動いた方がいいのかが判断できない場合はどうしたらいいですか?

動いて治すぎっくり腰(急性腰痛)は、あくまで骨折や他の疾患がないことが前提となります。最終的な判断は医療機関の受診が必要となりますが、あくまでひとつの判断基準として、「安静にしていると痛くない」「痺れや感覚障害がない」場合は、可能なかぎり動いて頂いても問題ないかと思います。なお「20歳未満または55歳以上の方」「時間と供に痛みがひどくなる」「発熱など腰痛以外の症状がある」場合は、必ず医療機関をご受診下さい。

なんどかぎっくり腰をしていて、早く治る場合と長引く場合があるが何が違うのでしょうか?

腰痛にもいくつかの原因があり、大きく分けると(1)仙腸関節性腰痛(2)筋・筋膜性腰痛(3)椎間関節性腰痛(4)椎間板性腰痛の4つに分類されます。この4つの分類の中でも(2)の筋・筋膜性腰痛の場合は、比較的早く痛みが改善される傾向にあります。筋・筋膜性腰痛の場合は、痛みの場所が「右側」「左側」など、左右はっきりしているケースが多いように思います。

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